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在庫激減でアパレルの救世主に! SNS画像から流行を解析するAI

Fashion(ファッション)
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ニューラルポケットは、ファッショントレンド解析サービス「AI-MD」を2018年末から提供している。このAI-MDは、日経クロストレンドと日経クロステックが主催した「第2回ディープラーニングビジネス活用アワード」でファッション部門賞を獲得した。アパレル企業による衣料品の在庫廃棄や常態化した値引き販売への課題など「SDGs(持続可能な開発目標)の実現を考えるうえで重要な取り組み」であることが評価されたためだ。

日経クロストレンド
より

 「今年はこんな服がはやっているね」「この夏はこの色が流行しているようだ」。ファッションには様々なトレンドがあり、流行に乗った服は売れ行きが伸びるが、流行から外れた服は売れ残るといった厳しい現実がある。アパレル各社は流行を予測し、シーズンごとに製品を市場に投入するが、すべての予測が当たることはない。製造した服の中でも売れ行きが悪いものは、セールで大幅な値引きをして販売することになる。「ブランド価値を維持するためにセールをしない」と決めている場合は、売れ残った在庫を廃棄処分することもある。流行が「読みにくい」ことは、企業のビジネスに影響を及ぼすだけでなく、在庫廃棄による資源問題にもつながっている。

画像や映像を解析する独自のAI(人工知能)技術の研究開発と事業化を手掛けるベンチャー企業であるニューラルポケットは、こうしたファッション業界の課題の解決に、ディープラーニングを活用した方法で取り組んでいる。同社は2018年1月に設立したばかりの若い企業だが、設立当初からファッション業界には着目していたという。ニューラルポケット取締役CTO(最高技術責任者)の佐々木雄一氏は「当社は先行する他のAI企業よりも後発だったこともあり、業界にきちんと適用できるAIの技術開発を目指して研究してきました。衣食住という3大市場でどこにAIが刺さるかを検討していた中で、ファッション業界に在庫廃棄問題などの課題があることに着目しました」と語る。

リアルのリサーチャーが行う分析をAIに変える

 ニューラルポケットがファッション業界のソリューション開発に積極的に取り組むことができたのは、同社の事業戦略部でファッショントレンド解析サービス「AI-MD」の事業責任者を務める古田裕介氏の存在が大きい。古田氏は18年の創業当初からニューラルポケットに参画しているが、アパレル業界で15年以上のキャリアを積んだ専門家だ。在庫廃棄や値引き販売などの実情を目の当たりにしてきた。

 「店頭だけでなく中国で縫製の現場を監督するなど、多くの経験を積んできました。そうした中で、アパレル企業が生産量をコントロールできていないことによる負のスパイラルが定着していることを、身をもって感じてきました。その1つの要因が、流行を把握できないことです。多くのアパレル企業では、流行の把握や読みは属人的な経験則に頼っています。デジタルなデータとして把握できていないため、定量的なファクトに基づく判断ができておらず、生産量を適切にコントロールできないのです」(古田氏)

 一方で、海外のグローバルなアパレル企業の中には、1万人規模のリサーチャーを世界各国に配置し、街ごとのトレンドを把握することで適正な生産を実現しているところもあるという。古田氏は「1万人のリサーチャーを雇うことは難しくても、ファッショントレンドをAIで把握できるようにすれば、体力があるグローバル企業だけでなく多くのアパレル企業が有益な情報を活用できると考えました」と振り返る。

 「アパレル業界では、世界で余剰在庫が14億着、在庫廃棄は4兆円規模に上るといわれています。AIを活用して情報提供することで、こうした状況から救える部分をくみ取っていきたいと考えました。ファッショントレンド解析のAIの開発は18年1月の創業当初から手を着けていて、ファッションAI第1弾の完成を祝って社内でパーティーを開催したのがその年の初夏でした」(佐々木氏)。立ち上げたばかりの会社が、半年余りの期間に1つの答えを作り上げたのだった。

 

流行を予測するのではなくトレンドをデータ化

 ファッション業界の課題を解決するために、ファッショントレンドを解析しようという方向性は決まったが、当初は手探り状態での開発だった。「最初はAIで流行の先取りができないかと考えました。インフルエンサーのような人の発信から、流行を先取りするような予測をしようとしたのです。しかし、今のインフルエンサーはウェブで発信していて、影響を受ける顧客もウェブの同じ階層に存在しているため、発信から影響までの時間差がほぼないことが分かりました。これでは生産量を調整する流行の先取りには使えないことが明らかになりました」(佐々木氏)

 そこでニューラルポケットは方向を転換。流行の正解や不正解を予測するのではなく、世の中のファッションのファクトを定量的にデータとして表示できるシステムを開発することにしたのだ。「今年はこんな流行がある」といっても、実際にデータで示すことは難しい。古田氏は「例えば、青色の服を着ている人の割合はどのぐらいか、前のシーズンよりも増えているのか減っているのか。そうしたトレンドのファクトをAIによってデータ化して提示することにしました。その先の予測する部分は、人間が各ファッションブランドの特性を考えて、具体的な商品開発をすることにしたのです」と語る。人間が読み解くための基礎データをAIが作り出し、少しでも流行の読みが「当たる」ようにしようという発想だ。

SNSなどに投稿されたファッションのスナップ写真を基に画像解析を行い、ビッグデータを分析していく

 

そうした方向が見えてから、3カ月ほどはデータを一生懸命集め、ディープラーニングを用いたAIに学習させていった。集めたデータは、基本的にはウェブ上に公開されたファッションのスナップ写真。様々なメディアを通じてアップロードされる写真は1年分で約100万件。1枚の画像にはトップスやボトムス、帽子や靴など5点ほどのアイテムが含まれているので1年分でざっと約500万件のデータになる。それを5年分積み重ねて約2500万件のデータを蓄積した。

 ディープラーニングを用いたのは、SNSなどにアップロードされた写真を画像認識する部分だ。トップス、スカート、パンツ、靴、カバン、帽子などのアイテムを認識し、さらにトップスならばブラウスなのかニットなのかといった種別まで判別し、それぞれの色を分類していく。ディープラーニングによる画像認識で得られた分析データを集めてビッグデータ解析することで、例えば「ベージュのニットを着ている人が増えている」「ピンクが夏に向けて減少している」といったファッショントレンドが定量的に分かるようになるのだ。

AIエンジンよりもアノテーションが大事

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