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大人が選ぶボタンダウンシャツ──男のファッション基本のKEY(き)

COLUMN(コラム)
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古くは、文豪のスコット・フィッツジェラルドや俳優のクラーク・ゲーブル。さらには、イタリアで最もスタイリッシュな男性と評されたジャンニ・アニエッリやポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルと、そうそうたる男たちが愛したボタンダウンシャツ…。

アメリカントラッドを代表するこのアイテムは、イギリス滞在中のジョン・ブルックスが偶然目にしたポロ競技の選手のユニフォームに着想を得て誕生したと言われています。それから120年以上が経った現在も、男性の定番アイテムとして広く愛され続けています。カルチャーの香りとダンディズムが共存するボタンダウンシャツ。その魅力をひも解いていきましょう。

アメリカ文学を代表する作品の1つ、「グレート・ギャツビー」で知られる作家のスコット・フィッツジェラルド。ボタンダウンシャツがまだ珍しかった頃からの愛用者でした。1925年撮影。

アルフレッド・ヒッチコック監督の映画『北北西に進路を取れ』で、ボタンダウンシャツを着用したケーリー・グラント。

名家アニエッリ家に生まれ、イタリアの自動車会社フィアットの元社長・会長を務めたジャンニ・アニエッリ。極上の美的センスとエレガンスを追求したスタイルで、イタリアいちダンディな男性と評された彼もまた、ボタンダウンシャツをよく着用していました。ですが彼の場合、襟のボタンを留めないところが粋でした…。

ドイツ人モデルで、オリヴィア・パレルモの夫でもあるヨハネス・ヒューブル。ニットタイでほどよくドレスダウンしたスタイルには、こちらもカジュアルな印象を醸すボタンダウンシャツをセレクト。理に適ったアイテムセレクトはさすが。

歴史|誕生のきっかけはポロ競技

※写真はイメージです。

ボタンダウンシャツを生み出したのはアメリカントラッドの雄、ブルックス ブラザーズというのが有力な説として一般的です。1896年、ブランド創始者の孫に当たるジョン・ブルックスが滞在先のイギリスでポロ競技を観戦した際、選手たちのユニフォームの襟にはボタンが付けられていました。これは、風にあおられた襟が顔や首に当たることを防ぐためのもので、そこからヒントを得て誕生したのが「ポロカラーシャツ」であり、のちに「ボタンダウンシャツ」という名で一般化します。

1900年頃に「ポロカラーシャツ」の名で発売されると、その革新性にいち早く気がついた若者たち、特にハーバードやイエールなどの東海岸の大学生の間に浸透していきます。ノーネクタイでも高さが出るので品が損なわれることなく、カジュアルに着ることができるボタンダウンシャツは、新しいアメリカ人男性の若さとおしゃれの象徴となりました。

ブルックス ブラザーズのオックスフォード地のボタンダウンシャツを贔屓にしていたアンディ・ウォーホル。ちなみに彼とグラスを傾けているのは、ミック・ジャガーです。

スコット・フィッツジェラルドやクラーク・ゲーブルなど、生涯を通じてボタンダウンシャツを愛した偉人・有名人は数知れません。その中の1人がアンディ・ウォーホルです。彼はブルックス ブラザーズの白いオックスフォード地が大のお気に入りでしたが、広告制作によって得た初めての収入で、同社のボタンダウンシャツを100枚購入したという逸話も残されています。

映画監督のアルフレッド・ヒッチコックは映画『北北西に進路を取れ』の中で、ボタンダウンシャツを効果的に使用しています。

主演を務めたのはケーリー・グラントですが、当初はレギュラーカラーのシャツを着用して広告代理店に勤務をしています。事件に巻き込まれてアクションシーンが多くなる中盤以降では、ジャケットを脱ぎ、シャツをカジュアルな位置づけにあるボタンダウンシャツに着替えるシーンが登場します。これは、シャツを着る男性という登場人物のイメージを壊すことなく、物語のシーンの設定・テンションに合わせてフォーマルな場との差別化を図るという狙いがあったと言われています。

映画『北北西に進路を取れ』の1シーン。

ボタンダウンシャツのディテールと名称

自分に合ったシャツ選びの第一歩として、まずはボタンダウンシャツに限らず、シャツ全般のディテールと名称を押さえておきましょう。

「台襟(だいえり)」とは、襟を美しく見せるために襟を支える土台となる帯状のパーツのこと。立ち上がりが垂直に近いほど、首へのフィット感が増すとされています。「前立て」とは、シャツを閉じたときに上部にくる前合わせのこと。最も一般的な「表前立て」、前立てが裏側に折りたたまれた「裏前立て」、表側からはボタンが見えない「比翼前立て」の3種類があります。

「袖ぐり」とは袖と身頃が縫い合わされた部分のことで、「アームホール」とも言います。「ヨーク」とは、肩から背中にかけての台形型の切り替え部分のこと。肩から背中に掛けたフィット感を高める働きがあります。「ガゼット」とは、前身頃と後身頃を接合した裾野部分を補強するための布パーツ。

袖口の切り込み部分に短冊状に配されたパーツのことを、「剣ボロ」と呼びます。先端が剣の先ように尖っていることが名前の由来です。「カフス」とは袖口を留めるパーツのことで、単数形「カフ」の複数になります。「テール」とは裾のことで、中央部に向けて長くなるようにラウンドにカットされた「ラウンドテール」と、ラウンドの幅が短いものや直線状にカットされた「スクエアテール」があります。

ボタンダウンシャツを選ぶ際のチェックポイント

アメトラスタイルに欠かせないボタンダウンシャツ。中でも絶対に外せないのが、現在のボタンダウンシャツの原型とも言えるブルックス ブラザーズの1枚です。コチラは、ゆったりとした「トラディショナルフィット」。アメリカ産のスーピマコットンを使用し、肌触りも抜群。2万900円(ブルックス ブラザーズ/ブルックス ブラザーズ ジャパンTEL 0120-02-1818)

01|襟美しいS字ロール

襟の美しさは、ボタンダウンシャツの生命線でもあります。理想の形状は、正面から見たときに優雅で美しいS字ロールを描いていること。襟自体が小振りだとS字になりにくく、カジュアル感が強くなります。

02|肩幅両脇は軽くつまめるように

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