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絶好調のECモールからあえてD2Cに転換 新興アパレルの挑戦

Fashion(ファッション)
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「メディア型ECデパートメントストア」を掲げていたファッションECサイト「STYLEVOICE.COM」が、インフルエンサーとのオリジナル企画を手掛けるD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)事業へと大きく舵(かじ)を切った。人気モデル・山田優とのコラボも好調。決断の裏にあるコロナ禍でのアパレルニーズの変化とは?

日経クロストレンド より

アパレルの企画、販売をするD2C事業に舵を切った「STYLEVOICE.COM」

好調の中の路線転換

 「STYLEVOICE.COM」(以下、STYLEVOICE)を運営するスタイルヴォイス(東京・千代田)は、ジュン(東京・港)、マッシュホールディングス(東京・千代田)、デイトナ・インターナショナル(東京・渋谷)というアパレル3社が出資して2019年6月に設立した。主婦の友社や幻冬舎で女性ファッション誌の編集長を歴任した片山裕美氏が社長を務め、商品の成り立ちやそこに込められたメッセージ、スタイリストやモデルといったファッション分野の著名人のこだわりなどを紹介する記事と合わせて商品を提案することで、既存のファッション系ECとは一線を画す路線を歩んできた。

 それが功を奏してか、コロナ禍でも業績は好調。外出自粛に伴う休業要請、消費者のライフスタイルの変化で苦境に陥るアパレル企業が多い中、20年1~6月までの売り上げは前月比平均178%、その後も右肩上がりを続けている。

 それにもかかわらず、同社は21年4月からSTYLEVOICEの事業路線を大きく変更した。アパレルメーカーの商品を販売するファッションECサイトから、モデルや女優、スタイリストなど、ファッション分野のインフルエンサーとコラボしたD2Cブランドの企画、販売ビジネスに舵(かじ)を切る。かつては50ほどあったSTYLEVOICEの取り扱いブランドは15程度に絞り込み、今後はオリジナル企画を数多く取りそろえる。

 それに伴い、出資企業の顔ぶれも変わった。デイトナ・インターナショナルが抜け、新たにサイバーエージェント、メディコム・トイ(東京・渋谷)が参画。「今は女性向け商品が中心だが、今後はメンズも含めたさまざまな商品展開が可能になる」と片山社長は展望を語る。

SNSに“ストーリー”を求める消費者

 順調に成長していたのに、なぜ大胆な路線変更に踏み切ったのか。きっかけの1つは、20年6月に販売した同社オリジナルの「ワンマイルウェアセット」だ。ハイエンドカジュアルブランド「アウラ」「アウラアイラ」でディレクター兼デザイナーを務めた川島幸美氏が、STYLEVOICE限定商品として企画。コロナ禍で外出を自粛する人のニーズに合わせ、自宅でのリラックスタイムや近所へのちょっとした外出時に着られるワンピース、パンツ、ブラトップ、マスクの4点セットをオーガニックコットンを使用して制作した。

「アウラ」「アウラアイラ」の元ディレクター兼デザイナーの川島幸美氏がSTYLEVOICE限定の商品として企画した「ワンマイルウェアセット」。価格は1万5400円(税込み)

利用者からの人気は高く、予約開始から2時間で完売。その後、2回の追加受注を受け付けたが、それらも全て売り切れた。

 

 このときの手応えから、片山社長は消費者の変化を感じたという。「コロナ禍でアパレルはどこも停滞しているが、消費者のファッション自体への関心は下がっていない。マスク着用が常態化し、人に会う機会が減り、季節の移り変わりも感じにくい時代にどんなものがベーシックになるのか。それを探し求める気持ち、自分なりに納得して選びたいという気持ちはむしろ強くなっているのではないか」(片山社長)

 その上で、「これはインフルエンサーの思いが伝わりやすい心理状況」と分析する。「(現実の行動が制限され)リアルな体験、リアルな実感が薄れる中で、WebサイトやSNSの中に、自分が納得して商品を選ぶためのストーリーを求めている人は多い。この人たちにとって、自分が共感できるインフルエンサーのメッセージがそのストーリーになり得る」(片山社長)

 こうした消費者の変化に応えるため、インフルエンサーが自身の思いを込めた商品を企画・販売するD2Cブランドの展開に本腰を入れるのだという。

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