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「自分は平凡」と諦める人と突き抜ける人の決定差

CAREER&SKIL(キャリア・スキル)
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近年、「自己肯定感」という言葉があちこちで聞かれるようになりました。各自の個性を認め愛し、才能を伸ばしていくことで、自分自身はもちろん、子育てや部下の育成においても大きなプラスの変化が得られることは間違いありません。しかし、自己肯定感を自ら持つ・相手に持たせることに難しさを感じている方も多いでしょう。いったいそれはなぜなのでしょうか?
イェール大学・スタンフォード大学の研究やマズロー心理学の観点からは、「自己肯定」を難しくしているのは「周囲の環境」と自らの「心のブロック」であることが明らかになっています。
この2つのハードルを乗り越える方法とはいったい何なのか、韓国で20万部を超えるベストセラー『SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法』より、一部抜粋・編集してお届けします。

より

生まれ育った環境の差は、覆すことができるのか?

イェール大学の心理学教授リチャード・ニスベットは、親の階級と子どもの学力の関係性について研究しました。注目したのは、「語彙」の量です。言葉は思考力を育む重要な要素として知られており、語彙力はその重要な要素になっています。

専門職の親は子どもに対して1時間当たり2000語を使うのに対し、労働者階級の親が使うのは1300語。子どもが3歳になる頃には、専門職の親を持つ子は3000万語に触れるのに対し、労働者階級出身の子が接する語は2000万語にも満たないのです。このことから、3歳の時点で子どもたちには大きな学習量の差が生まれることがわかります。

ここまで読むと、学力の優劣とは生まれ育った環境である程度決まり、一度決まった「序列」を覆すのは難しいのでは、という気分になってくるかもしれません。社会は成績上位の者を優遇し、成績上位の者は優越感によって実力をさらに伸ばしていく。一方、それ以外の子どもは「自分はできない」「平凡である」という否定的なシグナルを受け取り続け、そのとおりの人生を歩んでしまう。

もはやそれは、逃れられない運命なのではないかと絶望的な気持ちになることもあるでしょう。しかし、安心していただきたいのは、そのような悪いシグナルは、必ず断ち切ることができるということです。

スタンフォード大学の心理学者クロード・スティールは、「環境のシグナル」に関してこんな研究をしています。スティールの研究チームは、成績が中位程度の学生を3つのグループに分けました。

1.「上位の学生と成績が比較される」と伝えるグループ
2.比較することを伝えないグループ
3.比較することを伝えず、さらに「勉強とは自分の力を伸ばす経験だ」という肯定的なメッセージを伝えるグループ

はたして、この3グループの成績にはどのような違いが生まれたかのでしょうか?

結果として、2と3のグループは以前に比べ成績が2倍に伸びたのです。中でも、3のグループの学生たちの成績は時間が経つほどに伸びていきました。この3グループは、言い換えると、以下に分けられます。

1.「否定的なシグナルを受け取るグループ」
2.「否定的なシグナルを受け取らないグループ」
3.「肯定的なシグナルを受け取るグループ」

そして、肯定的なシグナルを受け取るグループほど、どんどん成績がよくなる好循環に入ることができた、というわけです。スティールは、「環境のシグナルを断ち切るのは、貧困や遺伝子を変えるよりも現実的だ。その点で明らかな利点がある」と述べています。

今あなたが「受け取っている」「拒絶している」シグナルは?

テストの成績が悪い学生、落ちこぼれてしまう学生というのは、「家庭のせい」「才能がない」「努力が足りない」というわけではありません。それ以前に、「否定的なシグナル」を受け取っているかどうかが極めて重要になってきます。「自分はできない」「平凡だ」というノイズのようなシグナルを受け取り続けていると、その考えが繰り返し刷り込まれていきます。

社会心理学者のローラン・ベーグは「自分自身に対する考えはかなりの部分を他人の判断に依存」していると指摘します。スティールが証明したのは、この誤った判断を断ち切ることの大切さです。

また、心理学者のアン・クリスティン・ポステンは、環境のシグナルというのは私たちがそれを信じたときにだけ影響を及ぼすという事実を明らかにしています。いわく、環境に潜むすべてのシグナルは、それを受け取る側が「これは自分に送られたシグナルだ」と考えたときにだけ影響を与えるといいます。つまり、否定的なシグナルでも、自分に向けられたものだと認識しなければ、個人には何の効果もないことがはっきりしているのです。

基本的に私たち人間は社会のシステムを信頼するように刷り込まれて育っています。しかし、本来私たちはそのシグナルを受け入れることも、拒絶することも自由なのです。「今いる場所」が私たちのすべてではありません。まずはそれを思い出すことが、あらゆる環境から抜け出すための第一歩になるでしょう。

マズローの説く「ヨナコンプレックス」とは?

周りからの「否定的なシグナル」を断ち切ったとしても、「自分は普通だから」「凡人だから」と、なかなか次に進めないような気持ちになることもあるかもしれません。人間の動機づけ理論について世界中で最も多くその研究が取り上げられている心理学者に、アブラハム・マズローがいます。マズローは、私たち自身が自らを平凡だと思い込み、偉大な夢を抱こうとしない姿を「ヨナコンプレックス」と呼んでいます。

聖書に登場するヨナは、重大な使命を与えようと彼を捜す神の呼びかけに恐れをなして逃げようとする気弱な商人です。このように「人間は自身の弱みと同じくらい強みも恐れる」とマズローは説明します。そのため、夢を実現することを恐れ、ただ1日1日をどうにか生きていくだけで満足してしまうというのです。マズローの説明をもう少し詳しく聞いてみましょう。

「私たちが心の奥底で恐れているのは、自分が不十分だということではない。自分に想像以上の能力があるということだ。闇ではなく、光が私たちを恐れさせているのだ。『自分は優秀で、器量もよく、才能があって、立派だ――そんなことがありうるのか?』この疑問に、私は問い返したい。実際、あなたがそうであってはならない理由がどこにあるのか?」

世界的アーティスト、スポーツ選手、ずば抜けて優秀な同僚や同級生。そんな人たちを見ながら、自分もそうなれると素直に思った人はどれだけいるでしょうか?

そう思えないのは、闇にいることにすでに慣れてしまっているからです。私たちが本当に恐れているのは、闇から抜け出た人々が明るく照らす「光」です。その光が自分の中にもあることはわかっているにもかかわらず、ただそれを恐れているにすぎません。マズローが指摘しているのもまさにその点なのです。

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