こんにちは。
皆さんは、A Family Experience Store「CAMP(キャンプ)」というおもちゃ屋さんをご存知でしょうか?
アメリカのニューヨークに店舗があるのですが。これが凄い!
2019年末までに、キャンプはニューヨークを皮切りに、コネチカットやテキサスに進出し、5店舗を展開。月平均で5万人の来客数を記録するまでに成長した。さらに勢いに乗り5~10店舗増やすことを計画していたが、コロナ禍でこの計画は破綻。「子供に遊び場を提供し、玩具を買っていただく」というコンセプトへの打撃はあまりにも大きかった。
だが、同社は2020年に前年比300%増という驚異的な増収を達成する(具体的な収益額は非公開)。さらに、2021年に新店舗開設を再計画しているという。
DIGIDAYより一部抜粋
またコロナ渦でも売上は好調みたいです。
ではなぜ?好調なのでしょうか?人気なのでしょうか?
今日は、小売の生き残りのヒントが隠されているかもしれません。
CAMP(キャップ)について少し深掘って見ていきましょう♪
▼第一回目はこちら▼
きっかけはトイザらス
創業者のベン・カウフマン氏はBuzzFeedでCRO(最高収益責任者)兼CMO(最高マーケティング責任者)を務めていました。
2018年の夏頃、妻と息子とニューヨークシティに暮らしていました。
そんな中、2ヶ月前にトイザらスが、経営破綻に追い込まれたことが追い風となって、カフマンの思いに火がついた。
「街に玩具が買える場所がなくなっちゃったんですよ(カフマン氏)」
しかも親子連れで何度行っても楽しめるような場所もないことに気づいた。
「子連れファミリーが家族単位で定期的に通いたくなるような、ワクワクする体験はどうすれば生み出せるのか(カフマン氏)」
と考えを巡らせているうちに「CAMP(キャンプ)」をひらめいたとい言います。
「子供だけではなく、あくまでも家族一緒に楽しめる体験の場という観点で考えたんです(カフマン氏)」
スターバックスの遊び版と言えます。
そこで、カフマンはニューヨークの5番街に「CAMP(キャンプ)」をオープンすべく動き出したんです。
マジックドアで冒険心が沸き立つ
ニューヨークに建てられたお店は、1万平方フィート(約929平方メートル)と言われています。
しかし店内に入ると、物販に割かれている面積は、店舗全体の2割程度にすぎない。
残り8割は、同社に言わせると、子供と家族が体験できるブラックボックス的シアターになっている。
「マジックドア 」という空間があるのですが、ここは定期的に変わるテーマに沿った体験ができる場で、テーマは約3ヶ月ごとに変わり、多くの場合、何らかのブランドがスポンサーになっている。
同店では、玩具に加え、衣料、ギフト、食品の他、両親や祖父母をターゲットにした商品も並ぶ。
「子供たちが持ち歩けるような玩具は、私たちが重点をおいているもののごく一部に過ぎないんです(カフマン氏)」
物販などの売り場
複数の収益源
主な収益源はチケット販売、店舗内イベント、玩具販売となっていが、実際には3番目の玩具販売は売上全体の2割程度に過ぎず、ほかの2事業(チケット販売および店舗内イベント)が収益の牽引役を担っている。
チケット販売は、店内で開催するイベントです。
そして前述のとおり、かなり手の込んだテーマ型体験空間もあり。こちらは特定ブランドがスポンサーになる。
体験を実現するチーム作り
この特定のテーマに即した体験を実現するチーム面々がすごい!
いずれもカフマン自ら集めた顔ぶれらしいのですが。
メンバーは、舞台経験者ばかりなんです。
テーマに即した体験を演出する体験デザイナーは、ブロードウェイ経験者を採用しており、大ヒットミュージカル「ハミルトン」などの作品のセット作りを担当したメンバーもいるという。
なるほど、そういうクオリティだ。
カフマン氏いわく、「舞台」である。
子供心を失いかけた大人でさえ、まだ帰りたくないと思えるほどの内容。
カフマン氏いわく、舞台作品の制作陣とほぼ変わらない制作手順で取り組んでいることがわかった。
まずストーリーを書きます。いつも体験をデザインするときはそうです。店内には1つ動線があります。マジックドアを開けたところに舞台があります。食をテーマにしたクッキングキャンプの場合、いくつもの冷蔵庫の間を抜けると、農場に辿り着き、そこで畑から食品がどのように生まれてくるのかを追っていくんです。
ストーリーが書き上がってから、「CAMP(キャンプ)」のチームは動線上のポイントごとに配置できそうな商品などを考え始める。カフマン氏に寄れば、どのストーリーでも、展開に合わせて子供達が様々な商品で夢中にになって遊ぶ時間も考慮されている。
リテールエンターテイメントの特徴
こう言ったリテールエンターテイメント型の小売は、物販だけではなく、体験そのものも入場料やブランドスポンサー料と言った形で収益化に繋げている。
リテールエンターテイメント型の小売の考え方は、原点が商品販売ではなく体験づくりにある為、根本的に異質である。いや、むしろ体験こそが商品なのです。そして商品は、この体験の思い出となる一種の記念品なのです。
コロナ渦でビジネスモデルを増やす?
さてここからは、コロナ渦でロックダウンを虐げられ、持ち味の体験型店舗の売上と演出がストップしてからだ。
ここからはコロナ渦でどう売上を作って言ったかのか?の話をしていきます。
B2CからB2Bへのシフト
CAMP(キャンプ)の持ち味をデジタル化して提示する方向に動き出した。
「メンバーからバーチャル誕生会なんてどう?」というアイデアが出てきたんです。
顧客のデータベースを見てみると、誕生日の子供が毎日60〜70人いることがわかりました。
そこでデジタル誕生日会をオンラインで開催する場を提供することにしたんです。
この3ヶ月間に数千人の子供達の誕生日をお祝いしましたよ。
その後、子供達のデジタル誕生日会を応援してくれるスポンサーを募ることにしました。
オーディエンスを用意したら、ブランドパートナーシップを獲得するという、まさに「CAMP(キャンプ)」流のやり方なんですよ。(カフマン氏)
その動きに関心を寄せたのが、ウォルマートだった。2020年7月には、「キャンプ・バイ・ウォルマート」が始動した。
「今年はオンライン版のサマーキャンプが多く開催されましたが、どれも似たような内容でした。家族でできることをまとめたPDFをダウンロードと言った具合で。でも「CAMP(キャンプ)」というブランドを掲げる私たちは、そんなやり方では面白みが感じられませんでした。そこでウォルマートと、インタラクティブな映像制作を手掛けるエコーという会社の3社で手を組み、インタラクティブ動画を生かしたバーチャルサマーキャンプの開発に乗り出したんです。サマーキャンプを構成する1つひとつのお活動には、ベースとなる商品があって、クリックひとつで購入できます。」(カフマン氏)
ここでも、物販ではなく、まず体験作りに注力することにより、「キャンプ」の持ち味を何らかの形で表現し、それをオンラインで伝えて収益化につなげている。
オンラインの強化
カウフマン氏は、2020年11月末には編集部門を設立し、タナー・グリーンリング氏を編集長に起用。BuzzFeedに11年間勤務し、編集や戦略に関する重要職を歴任した人物だ。同氏のチームの目的は、キャンプのオンラインにおけるプレゼンスを高めることにある。
カウフマン氏によれば、これにより顧客第一主義がより強く実践され、具体的には同社の店舗やバーチャルイベントへの周知が進み、収益回復の原動力になっているという。これまでもオンライン戦略を進めてきたが、コロナ禍でそれが一気に加速したとも述べる。
キャンプによる「子供の遊び場としての店舗を、オンラインで再現する」という取り組みが、商品や楽しいイベントなどの売上増につながっているという。同社のホームページは、「ショップ」のタブをクリックするとマーケットプレイスに移行するようになっている。そしてマーケットプレイスでは、副大統領のカマラ・ハリス氏のアクションフィギュアやオレゴン・トレイル(The Oregon Trail:西部開拓時代をテーマにしたアメリカの大人気ゲーム)などが売られている。一方、ウェブサイト全体ではアートや料理などのコンテンツの人気が高いものの、これらのコンテンツは必ずしも商品紹介や販売につながっていないのも特徴的だ。
「我々は小売メディア企業だ。メディアとしての活動も行うことにより、顧客ロイヤリティの向上につなげる。引いては、商品の販売増をもたらしてくれる」(カウフマン氏)
しかしウェブサイトのメインターゲットは、あくまでも子供とその親で、「今日は何をしよう?」と考えている家族に、楽しみを提供することを最優先にして運営しているという。
「ECはあまりにも退屈な世界」
カウフマン氏は、2021年にはオンラインの売上が総売上の50%前後にまで上がると予測している。オンライン事業をブランドマーケティングのツールとして活用し、知名度や評価を上げて、パンデミック終息後に店舗への多数の来客を見込む。
「このコロナ禍で、当社はデジタル技術を駆使して、できる限り多くの取り組みを進めてきた。コロナ禍終息後にはその努力が実を結び、店舗や体験型イベントへ一気に客足が戻ってくるはずだ」(カウフマン氏)
同社は、前述の3州においてウェブサイトを介したオンライン店舗を運営しているが、それ以外の地域のオーディエンスにもリーチを試みている。ほかのオンラインショッピングよりも「楽しい」同社の顧客体験は、競争の激しいEC業界のなかでもひときわ目立つ存在になっている。
「ECは、隔絶した、あまりにも退屈な世界だ。『検索して、買う』。ただそれだけの場所になり下がってしまっている」(カウフマン氏)
たとえば、キャンプは2020年のクリスマスシーズンに「バーチャルプレゼント交換」イベントを開催した。家族や友人グループがログインして、プレゼントをバーチャルで贈り合い、交換して開封するというイベントだ。これが終わると、キャンプが注文を処理して開封した人たちにそのプレゼントを送るという仕組みになっていた。カウフマン氏によれば、このイベントは開始から10日以内に2万5000人もの参加者が集ったという。
この成功を受けて、同社は誕生日パーティーや出産祝い、バレンタインデーといった特別な日に向けて新たなオンラインショッピング体験を提供していく予定だ。
まとめ
消費者にとって商品を入手することはもはや最大の課題ではないというのは、カフマン氏などリテールエンターテイメント型の現状認識なのである。
見事に作り込まれ、印象的でワクワクするような体験を味わう事こそ、消費者が切に求めているものなのかもしれない。
参考文献:パケトラ/HI(NY)LIFE/DIGIDAY/小売の未来(ダグ・スティーブン著)
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