広島から世界へ届ける”made in japan”カイハラデニム

COLUMN(コラム)
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おはようございます。モウリです

先日このようなツイートをしました。

あなたは”カイハラ株式会社 ”をご存知でしょうか?
知らない人も大丈夫です。

本日は、そんな世界に誇る日本有数のアパレル企業の1つをご紹介したいと思います。
なぜ僕がここまで推すのか?
それは僕自身が広島出身であり、またファッション業界に携わってきたからでもあります。

広島にはこんな素晴らしい企業があるんだよ!
っていうのをご紹介したいと思い記事にしました。

是非最後までご覧いただければと思います。

カイハラデニムの歴史

さて「おしゃれ好き」の方でしたら、日本のデニムと言えば岡山県倉敷市にある”岡山デニム”を思い浮かべる方も多いかもしれません。
実は、お隣の広島県福山市も綿織物が盛んな地域でも知られております。
カイハラ株式会社は、そんな福山市に本社及び工場をおきます。

両県とも瀬戸内海に面しており、江戸時代より温暖な気候により綿花栽培が盛んに行われていました。
日本屈指の繊維産業地域へと発展しました。

絣作りで培った厚手生地の織布作りや藍染の技術は60〜70年代にかけて国産デニム作りへと受け継がれて、現在に至ります。

なんとカイハラは、創業129年を迎える老舗企業の1つ。
デニム生産へと事業転換をしたのは1970年の辺りになります。
手織正藍染絣を製造する機屋として1893年に創業。
1941年に太平洋戦争が勃発。
糸の配給がストップし、経営危機を迎えました。

そして、社員が一丸となって研究を重ね、1956年に洋服用広幅絣の製造に成功します。
世界初の36インチ幅のコニイ絣を製造するという日本の服飾史に残る快挙を成し遂げました。
1960年には、イスラム教徒が着用するサロンという衣料の生産と輸出を開始し、中近東の人々から最高級品として高い評価を受けることになります。
一時は危機を迎えたカイハラでしたが、3代目貝原定治の努力により苦境を乗り切ることができました。

1967年にまたしても危機に直面します。
主要輸出先であった中東の都市アデンからイギリス軍が撤退することになり、ポンドの価値が急落しました。
それにより、サロンの輸出が激減し、収益が1/3にまで落ち込みます。
社員数も半分にまで減り、苦悩していた定治でしたが、ここで大きな転機となる提案がもたらされます。
機織り会社や衣料品メーカーが、絣で培った技術を応用してデニム生地を作って欲しいと依頼されたのです。
当時はベトナム戦争に対する反戦運動が盛り上がり、平和の象徴として世界中の若者たちがジーンズを履くようになっていました。
同じ頃、日本初のジーンズブランドも誕生しており、今後のデニム需要の高まりが予測されていたのです。
定治は絣製造からデニム生地製造へと事業を大きく転換することを決意。
デニムファクトリーへの道を歩み始めます。

絣の製造では、糸を芯まで染める綛染(かせぞめ)という手法を用いていたのですが、それではデニム特有の色落ちが生まれませんでした。
アメリカでは糸をロープのように束ねて染色しているという情報を得た定治は、独自に開発していた“液中絞り”という絣製造の技術を応用し、ロープ染色機の開発に挑戦します。
そして、7ヶ月をかけて1970年に日本初のロープ染色機が完成。
本格的なデニム生地製造の足がかりを築きます。
それからまもなく生地メーカーや紡績会社からオーダーが殺到。
翌年にはジーンズ約30万本分もの発注が寄せられます。
さらに、1973年にリーバイス社からオーダーを受けたことを機に、デニム生地メーカーとして世界から注目を集めることとなります。

1978年には織布、1980年には整理加工、1991年には紡績の設備を完成させてデニム生地製造のすべての工程を手がける国内初の一貫生産体制を確立しました。
現在、カイハラは広島県に4つの生産拠点を構えるほか、タイにも工場を新設して国産と同等のクオリティのデニム生地を製造しています。
国内シェアは約50%、輸出先は約30カ国にのぼります。
かつて絣で培った技術をデニム作りに生かしたように、最新鋭の機器を積極的に導入しつつ旧式のシャトル織機を駆使するなど、新旧の技術を融合させたものづくりをおこなえることがカイハラの強み。

出典元:http://www.kaihara-denim.com/

世界基準のデニムファクトリー

画像出典:https://fukuyama-brand.jp/?p=3774

一般的にアパレル商品の製造では紡績や染色、整理加工といった生地加工の各工程を別々の会社で行い、大量生産を実現しています。
しかし、この方法では一定のクオリティしか維持できず、高品質な商品を生産するのには向いていないというデメリットもあるのです。
これに対してカイハラでは紡績から染色、整理加工に至るすべての工程を社内で一貫して行っており、品質責任はすべてカイハラが負っています。
同社では市場や直接の取引先のニーズに応えられるようレベルの高い自社品質基準を設けており、社内一貫生産体制によりその高度な基準を満たす商品を生産することが可能となっています。

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広島県内の三和工場


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

カイハラの一貫生産体制は、福山市の本社工場に加え、広島県内の三和工場、吉舎工場、上下工場と、2年前に開設したタイ工場の5拠点で稼働し展開されています。
福山駅から車で約1時間の場所に2009年に完成した三和工場があります。
世界中から愛されるカイハラデニムが出来上がる工程を可能な限りお届けできることになりました。
他では見ることのできない、カイハラデニムができるまでの流れを、各工程での有害物質への安全性の管理に関するポイントも交えつつご紹介します。

原綿

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

約5,000平米の広さがある原綿倉庫には、アメリカをはじめ世界の主要綿生産地からデニムに最適な原綿が産地ごとに管理され、常時約5ヶ月分の原綿が保管されています。
写真に見える原綿1つの俵から、約250本のジーンズができるとのこと。
また、綿花畑で使用された残留農薬に対する管理は、極端にはオーガニック原綿の使用ですが、その他にも、減水や減農薬栽培された原綿を吟味、購入し、エコテックス®認証基準による分析試験で問題が無いことを確認しています。

紡績

 


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

原綿に混ざっている金属やゴミなど、金属探知機等を用いてチェック・除去している様子。
ここでの作業が品質の高い糸作りの大事な一歩となります。


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

混打綿機で、綿をかきとり空気搬送しているところ。
工場内は1年中、温度、湿度を一定に保っています。


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

カイハラには独自の銘柄で数百種類の糸があり、原綿の色やグレードでそれぞれの糸に合わせて、独自のノウハウでブレンドされ、カード、練条等の前紡工程を経て、精紡工程へ。
工場の中にある設備は、絣で培った技術をベースに独自に改良したものばかり。
カイハラが世界中から注目されているデニムを作りあげるための工夫が随所に組み込まれています。


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

顧客の要望により、リング精紡機とオープンエンド精紡機が使い分けられます。

整経

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

紡績された600~900本の原糸を約6,000ヤードの長さでロープ状に束ね、チーズと呼ばれる円筒形に巻いていきます。
次の染色工程で、ムラなく染めあげるためには全ての糸を均一に巻き取ることが必要となります。

ロープ染色

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

カイハラデニムの仕上がりを決定づける重要な工程が染色です。
糸の芯(中心)の部分を白く残し、糸の表面を染色するロープ染色は、カイハラが備後絣で培った技術が惜しみなく活かされています。
ロープ状に束ねられた原糸がインディゴ染料の液槽を通過し、ローラーで絞られ、空気に触れることで酸化し、緑色から藍色へと徐々に変化していきます。
この工程を何度も繰り返すことで、カイハラの他社にない深みのあるインディゴブルーが誕生します。
これによりジーンズの洗い加工後のビンテージ感を出すことができるます。
また、染色はデニム生地を生産する中で多くの薬剤が使用される工程です。
カイハラの厳しい基準で仕入れた薬剤を、それぞれの安全に関する取扱い方法を忠実に守り、事故が起こらないように保管方法なども工夫しています。
薬剤の使用・管理については、細心の注意を払い日々生産を行っています。

織布

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

染色が終わり、いよいよ織布へ。
糊付け・経通し等の準備工程を経て経糸(タテイト)に、緯糸(ヨコイト)を打ち込み、デニムを織り上げていく工程です。
ここでは、デニムのバリエーションに合わせて織機を使い分けています。
高速でデニム生地が織られていく様子は圧巻です。

生機検査(キバタケンサ)

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

織りあがった生機が規格通りに仕上がっているかを検査員が全数チェック。
不良個所を発見した場合は、即座に前工程にフィードバックされます。
驚くほど正確で綿密な連携が、カイハラの品質管理の質を高く保っている秘密です。

整理加工

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

表面の毛羽(ケバ)を取る毛焼き、生地にコシを持たせる糊付け、ねじれを防ぐ斜行防止、生地の縮みを防ぐ防縮など、製品として出荷する最終仕上げ。

最終検査・試験

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

整理加工を経た生地は、製品検査と製品試験に回ります。
製品検査は、資格を持った検査員が目視で生地の欠点を見つけながらA反、B反、C反の格付けを付けます。
また、製品試験は、生地の物理的な試験として、よじれ防止、縮み具合、強力、ストレッチ素材であれば、伸びの状態などの項目を全て合格した物と製品検査に合格した生地が巻取、梱包され立体倉庫に格納され、お客様の要望に従って出荷に至ります。

そして最終製品段階で、第三者機関の一般財団法人ニッセンケン品質評価センターによる有害物質に関する厳しいエコテックス認証試験を受けることで、世界に通ずる安全性を担保します。

徹底した環境保全への取り組み

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara02/

デニム素材メーカーとして、自然との共生が大きな使命と語るカイハラでは、廃水処理施設を設置しています。
公的環境基準より厳しい自主基準を設定し、徹底した環境への配慮・対応をしています。
また、3年前からは、さらなる水質の向上・廃水処理の安定化を図るために、新たな処理システムを導入。
貝原会長は

「我々は、豊富な水をはじめ、自然からの恵みで成り立っている。コストはかかりますが環境のためにはそうすべき。また、ボイラー燃料は重油からLNG(液化天然ガス)に変えています。法律上の規制はないのですが、自主的に基準を厳しくしていくことで大気汚染を少なくしていこうという取り組みをしています」

と語ってくださいました。

自然からもらったものに対して、何をもって恩返しできるか。
この姿勢こそがカイハラクオリティと言えるのではないでしょうか。

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貝原会長が見る、繊維業界の今とこれからを見据えて

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara03/

最後にOEKO-TEX®(https://oeko-tex-japan.com/)による貝原会長のインタビュー記事から、繊維業界のこれからについてをお届けして終わりたいと思います。

繊維は海外ではまだまだ成長産業です。
日本では決して伸びて行っている業界ではないですが、服を着れない人が世界にはたくさんいることを考えると、衣料というのはまだまだ成長産業であるという見方もできるんです。
我々のマーケットが日本だけだったら、ここ何十年も設備投資をする必要はなかったかもしれないですが、我々は世界に売って行こう、戦おうとしているわけですから、彼らと同等に戦えることをしないといけない。
“変わらない”というのは、決して良いことではないと思っています。
挑戦していくことにこそ意味があると考えています。それが、我々が生き残る方法だと思うんです。
我が社のデニムは日本で50%以上のシェアを占めています。
海外では何百億という投資をする価値のある成長業界ですが、日本では多くの企業がいかに撤退しようかを考えています。
デニムに対して我が社ほどの投資をしている企業は日本国内では他にはないでしょう。
我々は、量を追求しても勝てない。
値段で追及しても勝てない。
量と価格で競争をしていくことはできないんです。
海外では一貫生産というのは当然の形なので、量もあり、値段的にも安ければまだまだ売れるチャンスはあり、そういった商品は今後もどんどん出てくるでしょう。
そこで我が社は、より高いレベルを提案していきます。
安さではなく、新しいもの、マーケットにない物を作っていくことに挑戦しています。


画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara03/

我々は、年間に700~1000のサンプルを作っています。
他との差別化、ブランド力の向上を考えると、開発力、探究心は欠かせないものであり、それを実現させる技術力も必要になります。
良い物を作っていたとしても、商品をただ「見てください」というのでは、なかなかお客さまは納得しない時代です。
どういう背景で作っているかをきちんとプレゼンをしないと通用しないんです。
丁寧に説明することが、彼らに受け入れてもらえるということだと思います。

ーーーこれから一番大切になってくることとは?

マーケティング力が非常に大事だと感じています。
以前、ある大手ジーンズショップさんにお願いをして、5月の連休に吉祥寺、新宿、原宿、渋谷、横浜の店舗で売れたデニムの裾直しで出た切り端を、全て着払いで送ってもらったことがあるんです。
それを種類別に並べてみると、売れているもの、人気のあるものが見えてくるんです。
そこから出たデータを、ブランドさんにご提案して商品作りに活用したこともあります。
我々は、ブランドさんから「こういうものを作ってほしい」と言われたものをそのまま作るのではなく、こちらからもご提案できる体制を整えておくべきだと考えています。
独自のマーケティングデータをまとめておき、アパレルさんとディスカッションしながら商品を作っていくんです。
我々の商品は、ただ提供するだけでは「彼らは高いだけだ」となる価格帯なので、共に作り上げていくということを強みとして取り組んでいます。

画像出典:https://oeko-tex-japan.com/interview/kaihara03/

ーーーどんな企業であり続けたいと考えていらっしゃいますか?

グッドカンパニーでありたいですね。
いろんな意味で、企業は続けなかったら意味がないと思っています。
それも、進化し続けながらでなくてはいけない。今の流れから考えると、エコや環境問題に対しての取り組みなどいろんなことをひっくるめて、業界では注目され続ける会社でありたいと思います。
アピールしなくても理解してもらえるような会社であることが理想です。
それとやはり大事なのは、少しでも従業員へ多く還元できる会社でありたいと思います。
サステイナブルなグッドカンパニーであるための大切な要素ですから。

まとめ

本日は以下について解説いたしました。

  • カイハラデニムの歴史→国内シェアは約50%、輸出先は約30カ国にのぼります
  • 世界基準のデニムファクトリー→紡績から染色、整理加工に至るすべての工程を社内で一貫して行っている
  • 徹底した環境保全への取り組み→公的環境基準より厳しい自主基準を設定し、徹底した環境への配慮・対応
  • 繊維業界の今とこれからを見据えて→衣料というのはまだまだ成長産業である
  • これから大切になってくるもの→マーケティング力
  • どんな企業であり続けたいか?→サステイナブルなグッドカンパニー

どうでしたか?
日本にもこのように世界へ発信するグローバルカンパニーがあります。
しかもそれが広島県にあるというのは、同郷としてはなんだか嬉しいです。

知らなかった人が一人でも知ってくれるキッカケになれば嬉しいです。

本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

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