本日は、古着市場(リユース)についてお話ししようと思います。
というのも、現在古着市場が世界的に注目されているのをご存知でしょうか?
このままいくと、10年後にはファストファッション(H&MやZARAなど)を追い抜くと言われているんです。
- なぜ古着市場(リユース)は伸びているのか?
- 古着市場(リユース)が伸びるとどうなるのか?
- 世界と日本の市場の違いは?
などなど。
今後の古着市場(リユース)の動向について迫って行こうと思います。
世界的な流れをしっかり掴んで、今後のファッション並びにビジネスの参考にして頂ければと思います。
古着市場(リユース)の未来予測
婦人服や子ども服、靴やアクセサリーなどを中心に、古着をオンラインで販売しているスレッドアップは、2021年に出したレポートで、アメリカの古着市場の包括的な調査結果を発表した。
3500人の消費者を対象とした第9回年次調査では、古着市場は現在の360億ドル(約3兆9500億円)から今後5年間で倍増し、770億ドル(約8兆4550億円)に達すると予測している。
画像出典:https://www.thredup.com/
これはアメリカでの調査結果だが、世界的に見て古着市場(リユース)の伸び率は高い。
スレッドアップによると衣料品のリセール(再販)市場は今後10年、従来からある小売市場をはるかに上回る速さで成長し、2030年にはファストファッション市場の2倍の規模になると予想されるという。
スレッドアップが市場調査会社グローバルデータ(GlobalData)の協力を得てアメリカで実施した調査の結果、リセール市場は従来型のファッション小売市場のおよそ11倍のスピードで成長していることがわかった。
では日本の古着市場(リユース)はどうでしょうか?
日本のマーケティング会社 株式会社矢野経済研究所の2021年のレポートによると。
画像出典:https://www.yano.co.jp/
やはり日本の古着市場も右肩上がりなのがわかる。
日本の場合は、メルカリなどのCtoCビジネスの活性化が背景にあるようです。
ではここまで聞いて、なぜ?古着市場(リユース)は右肩上がりなのでしょうか?
その理由について次の章で解説していきます。
古着市場(リユース)が右肩上がりな理由
ここでは、なぜ古着市場(リユース)が右肩上がりなのか?に迫っていきたいと思います。
大きく分けて3つあると考えられます。
- エシカル消費
- 節約マインド
- 個性への追求
順を追って見ていきます。
エシカル消費
まずエシカル消費とは、どういった意味でしょうか?
消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
このエシカル消費が、Z世代を中心に流行っています。
ここ最近では、サスティナブルな影響もあり。
新品の物を購入するよりかは、1つの物を長くまた使い回すような消費の仕方に変化しつつありますね。
特に欧州の消費者はサステナブルなものとして販売されている衣料品よりも、リセールで購入する衣料品の方が、よりインクルーシブで透明性が高いと考えているそうです。
画像出典:https://www.thredup.com/
スレッドアップの共同創設者兼CEOのジェームズ・インラインハート氏は、「私たちは小売業の抜本的な変革の初期段階にいます。消費者は持続可能性を優先し、小売業者は中古販売の必要性を少しずつ認識し始め、政府は循環型経済に乗り出しています」と話します。
産業は、製品を生み出す「動脈産業」と、その廃棄物を回収する「静脈産業」の二つに分けられるが、これまで脚光を浴びることの少なかった静脈産業がこれから求められる循環型社会において重要な鍵を握る。
節約マインド
これはここ最近のコロナパンデミックの影響が強いですね。
日々の生活が制限され景気も良くない中で、消費者たちは急速的に節約を重視する傾向になっている。
3人に1人は、パンデミック前よりもサステナブルなファッションの選択に関心を持っている。
その背景としては「お金を浪費したくない」と答えた人が60%、「環境汚染への懸念」が51%だった。また、2人に1人が商品の購入時により価値を求めるようになった。
※英グローバルデータ
調査を実施した英グローバルデータ(GlobalData)のマネージング・ディレクター、ニール・サンダース氏は「パンデミックが明ければ、古着の需要はこれまで以上に高まっていくでしょう。人々は、ロックダウン中に家のクローゼットを一掃し、不要になった衣類を持続可能な方法で廃棄し、古着を購入するという方法に移行しています」と言う。
「小売業界はこの変化を認識しているからこそ、続々と中古販売に事業を展開させているのです。こうしたトレンドにより、中古販売はアパレル市場の中で最も拡大する市場といっても過言ではないでしょう」
これらの調査結果は、グローブスキャンによる「健康で持続可能な生活調査2020」で明らかになった消費傾向に基づいてまとめられた。
耐久性の優れた中古品の需要が高まってきていることは明らかで、ブランド品がリサイクル市場に繰り出していくことで、消費者のリサイクルへの移行はさらに加速するだろう。
グローブ・スキャンCEOのクリス・コールター氏は「ブランドはより手頃な価格で提供する必要があります。価格は、持続可能な社会を創造していく上で大きな障壁となります。また、それをより『クールなもの』として売り出していくことも大切です。(中略)しかし、最も興味深いのは、Z世代と呼ばれる若者は『消費』を少し違った視点で捉えていることです。彼らは『循環型/サーキュラー』というキーワードを重視しながら、強い意志を持って商品を選んでいるのです」
またここ最近は、米国でもSHEIN(シーン)の勢いがすごいですよね。
SHEIN(シーン)は、米国を中心に急激な成長を見せているプチプラ系ファッションブランド。
中国の会社ですが、中国では知名度はなく。
米国を中心に、欧州・アジア圏に販路を広げているいま勢いのあるファッションブランドの1つです。
このSHEEN(シーン)も、言わばTシャツ500円以下とかで販売されている。
格安でZ世代につくマーケティングをしている。
▽SHEEN(シーン)については動画でも解説しています▽
このように、安くてかっこいいアイテムを購入する。
そのような消費の仕方も当たり前になっています。
個性への追求
これはおしゃれ好きなら誰しもが通る道ではあるが。
「人と被りたくない。」
そんな思いを持った人も多いのではないでしょうか?
今のZ世代は、デジタルネイティブでもあります。
SNSへの投稿も、日常的に行う彼らにとって「おしゃれ」である事は尊敬される事でもあります。
デジタルネイティブな世代は、服をリサイクルしたり再販したりすることで、彼らにとって目新しい服を予算内で手に入れることができ、同じコーディネートの繰り返しを避け、新たなスタイルをSNSに投稿することができるのだ。
また、これは儲かる副業を始めるためのツールにもなる。
Depopで服を販売するユーザーの中には、年間30万ドル(約3300万円)もの収入を得て、大学生になる前に家や車を購入した人もいる。
▽Depopについては下記の記事でも解説しています▽
不安定な状況下では、人はノスタルジーを感じやすくなるという調査結果がある。
新型コロナウイルスのパンデミックによって、Z世代はノスタルジックな傾向が強くなったと言われています。
だからこそ、この世代は「オールド・マネー」(代々受け継がれてきた資産を持つ富裕層)の美学が感じられるプレップ・スタイルや、Y2Kファッションなど2000年代初期を彷彿とさせるトレンドに目を向けている。
そしてそのようなファッションアイテムが豊富にそろうのが、古着屋なんです。
Vogueでエミリー・ファラ(Emily Farra)が2020年における古着の台頭について書いたように、パンデミックの時代には、派手なロゴではなく、ヴィンテージの古着でさりげなく主張することに良さがあるといいます。
「2020年は失業率が上昇し、多くの企業が閉鎖された困難な年となっている。そんな中、ヴィンテージや中古品へトレンドがシフトしているのは、落ち着いた雰囲気のファッションへの欲求から来ているのかもしれない」
この傾向は服だけではない。
Insiderによると、多くのZ世代やミレニアル世代(1981年から1996年頃生まれ)が、大量生産の家具を避けてヴィンテージ家具を選ぶようになっているという。
これは、ヴィンテージファッションが流行っていることと同様の理由によるもので、パンデミック経済の結果でもある。
サプライチェーンの問題は、新しいソファを欲しい時にすぐに入手することを難しくしているだけに過ぎない。
あらゆるものがヴィンテージに取って代わられることになりそう。
古着市場(リユース)が伸びる中でデメリットも
ただ古着市場(リユース)が伸びる中で、デメリットも発生していると言います。
それは、価格の高騰。
古着が人気になることは、環境や古着屋にとってはいいことだが、低所得層の買い物客にとってはそうではない。Voxが2021年4月に報じたレポートによると、裕福な若者やティーンは、必要に迫られてではなく、ファッション性を求めて古着に大金を投じているため、古着は値上がりし、在庫も減っている。
「Depop」や「Poshmark」といったフリマアプリの登場で、これまで中古品を手頃な価格で提供してきた中古品販売のビジネスモデルも変わりつつある。
Voxによると、これらのアプリは現在、リサイクルショップの商品に価格を上乗せして転売することに利用されているという。
つまり、再販業者が地元の中古品店で買った商品を、アプリを通して売却して利益を得ているということだ。
これにより、低所得者層にとっての古着は、高価な買い物になりつつある危険性がある。
日本の古着(リユース)の伸びは米国のそれとは違う
世界的に見ても、日本は元々古着文化が根付いている。
むしろ、バイヤーにとって。
状態の良いアイテムは、日本が一番発掘できると言われている位。
世界中から、日本に買い付けにくるパターンも出てきている。
※特にここ最近の円安影響は大きいかもね
原宿や下北沢など、その地域に古着屋が密集しているのも。
世界的に見ても珍しい事なんです。
日本全国、どこに行っても古着屋やリユースショップがある。
結構Z世代と言わず、全世代的に古着文化が根付いているので。
米国の古着ブームとは一味違う。
では、日本の古着市場(リユース)が伸びている要因はなんなのか?
それれは大きく分けて、2つ。
- フリマアプリ
- インバウンド
この2つが要因だと考えている。
順番に説明していきます。
フリマアプリ
あなたも一度は使ったことあるんじゃないでしょうか?
「メルカリ」「フリル」「ラクマ」などなど。
フリマアプリと言われる物が、一般化しました。
日常的に、不用品を出品するのは当たり前になってきました。
されにリユースショップ。
「セカンドストリート」「トレジャーファクトリー」「ドンドンタウン」
などなど。
服の買取を専門に行うお店が、僕たちの住む近くにあるのも大きいですね。
週末にファミリー層が、お店に訪れる光景も良く目にします。
このように、CtoCビジネスをはじめとした。
リユース文化が根付いているのと、コロナパンデミックによる。
「ロックダウン」や「節約志向」。
この2点が大きく古着市場(リユース)を伸ばしている要因と思います。
インバウンド
コロナウイルス により、インバウンド需要は現在見込めない状況ですが。
コロナウイルス 以前では、インバウンド需要は大きかった。
観光庁「訪日外国人消費動向調査」では2019年の訪日外国人旅行消費額のうち買い物代は、前年比105.9%の1兆6,690億円であった。
日本政府観光客局(JNTO)によると2019年の訪日外国人客数は同102.2%の3,188万人で伸び率が落ち込みつつも増加が続いた事で、買い物代の金額自体は2018年から増加に転じている。
「中国人の爆買い」というのをニュースで良く目にしましたが。
まさにその流れで、古着商品も消費されていました。
前章でも言った通り、世界的に見て状態の良い古着アイテムが豊富に揃っているのは。
日本が1番と言われております。
古着にあまり抵抗がない外国人であれば、安く手に入る日本はまさに天国と言えるでしょうね。
まとめ
本日は以下について解説しました。
- 古着市場(リユース)の未来予測→右肩上がりで10年後にはファストファッションを追い抜く
- 古着市場(リユース)が右肩上がりな理由→エシカル消費、節約マインド、個性への追求
- エシカル消費→買い物にも意味を持って購入する
- 節約マインド→コロナパンデミックの影響
- 個性への追求→ノスタルジーなファッションを求める
- 古着市場(リユース)が伸びる中でデメリットも→価格の高騰
- 日本の古着(リユース)の伸びは米国のそれとは違う→フリマアプリ、インバウンド
- フリマアプリ→元々日本には古着文化が根付いている
- インバウンド→外国人観光客の爆買い
古着好きな僕にとっては、古着市場(リユース)が伸びる事は嬉しいですね。
ただその反面、価格高騰してしまえば。
古着の魅力って少し半減してしまいます。
というのも、僕も学生時代のお金のない時に。
低価格でみんなと差別化できるおしゃれを目指して古着の宝探しをしていたからです。
そんな低所得者層の助けがなくならないように、市場のコントロールをして欲しいですね。
本日も最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
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